皆さんは『山猫』という映画をご存知でしょうか?もしくはご覧になったことがあるでしょうか?できれば映画館のスクリーン上で。
完全なる映画狂だった(今でも)と言っても良い私の十代後半から90年代終わり頃までは貪るように映画を観続けていました。年間300本を超す映画を観た年が数年間は続いたでしょうか。
それらの中でも非常に数少ない“本物の”映画は私の人生観や各国への文化観というものを植え付けてくれました。どうしようもない“カス”映画は、それはそれで、そんなカスさえ『映画』と呼ぶ事のできる文化的背景というものを見せつけてくれ、それなりに勉強になったものです。
『映画』とは<虚構>を極限にまで突き詰め<真実>に昇華させるものだと思っています。一方、最初にテーマ(意図)ありきのドキュメンタリーや、これまた米国に端を発し昨今世界中で(テレビ番組制作者の間では特に)人気の所謂「リアリティ番組」等は「コレは現実です」「リアルです」とカメラを廻した瞬間から嘘が始まるものと思っています。
『映画狂』であった私には当然「敬愛する映画監督」が数名居ますが、この『山猫』の巨匠ルキノ・ヴィスコンティはそのリストには入っていませんでした。
しかし『家族の肖像』を観た後くらいからでしょうか、この「本物の貴族」出身の監督の作品を改めて観直し、魅了され始めたのは。
そして『山猫』です。
1963年に製作されたこの伊仏合同作品は、他国の文化への敬意など露程も払わず「金儲けが最大の文化、最終目標」であるアメリカ側の「長過ぎる」の一言で(世界配給権を持つという理由だけで)ずたずたにぶった切られ、オリジナルより30分近く短縮された161分の「英語版(!)が世界中で(!)」公開されました。
40年を経た2003年にオリジナルネガがイタリアの国家予算で(!)修復され、その更にニュープリントが改めてこちらの映画館で上映されています。
3時間7分、オリジナル言語・イタリア語の完全復元版です。
私にはイタリア語は勿論、現地の字幕さえろくに分かりません。がしかし『映画言語』というものは手に取るように分かります。手前味噌ですが。
まだオープニングに近いシーンで、登場人物が室外に出てきたその瞬間の空気感・・・豪邸の背後にそびえる岩山!そこに吹く登場人物の髪や木の枝を揺らす風!
カルディナーレの、ドロンの、射抜くような獣の眼差し!ランカスターの威風堂々と朽ちて行く巨体!滅び行きながらも踊り続けなければならない貴族達の哀しみ・・・あっと言う間の圧倒的な3時間7分・・・堪能しました。
何だ?FXとぜんっ然関係ねェふっる〜い映画の話?・・・Balibari頭おかしいんとちゃうか?という方もいらっしゃるでしょう。
が、ここで例えば英国BBCが放送したというあるトレーダーに関するテレビ番組を取り上げてみましょう。幾人かのFXブロガーの方が心から信じてる様子でこの番組を紹介されているのを読んだ時には「正気か!?」と思いました。更にはこれを観た日本の方々の反応 (“凄い!”“面白かった!”“リアルだ!”等)を知った時には、何と言えばいいのか、暗澹たる気持ちになりました。
私に言わせればこの番組など典型的な『リアリティ番組』です。「本物の素人を使った」というキャッチフレーズは確かに巧妙に“嘘”を回避しています。『リアリティ番組』における出演者というのはその殆どを「タレント(モデル)事務所に登録している素人」に出演料を支払って連れてくるからです。
さすがは「民衆がカダフィに抗議するリビアのトリポリ広場からのライブ映像です」と言いながらインド国旗が旗めきインド人が溢れる広場のビデオを流してしまう英国の誇る「公共放送局」BBCです。『リアリティ番組』程度のやらせなど屁とも思っていないのでしょう。
問題は、民衆がそれ程低く見られているという事実と、しかもそういったレベルの情報を信じてしまう私たち民衆側にあります。もちろん今このブログを読んでいる方々全員がこういったヤラセを信じている訳ではないとは思います(信じたいです)が・・・
また話が長くなりますので端折りますが、映画とボクシングが青春の全て(コレも古っ?笑)だった超アナクロな私の趣味嗜好を他人に押し付けるつもりもありません。
一方で、そんな私がくしくもこんな魑魅魍魎だらけのForexの世界に身を置く事になり、日々押し寄せるあまりにも違う価値観の波に揉まれていると、あっぷアップと溺れそうにもなります。
『本物を見よ、見続けろ』『信条に揺らぐな、真実にこだわれ』という自戒の意味を込めたつぶやき、くらいに思って読んでいただければ幸いです。




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