私は告発する!第1回:某FX業者の出金システム、オペレーション&サポートのお粗末さ
私が映画史上最高の天才と崇めるロマン・ポランスキーの最新作を昨年末に鑑賞して以来、映画の原題「J’Accuse(私は弾劾する)」を拝借したブログシリーズを書こうと考えていました。
最近ではドナルド・トランプ大統領の「弾劾裁判」として聞き慣れた言葉でしょうが、「弾劾する」では、意味的にも響き的にも「あまりにも」な感じなので、「私は告発する」くらいな感じでしょうか?
その記念すべき第一回が、なんと提携している海外FX業者(およびそのサポート体制)のうちの一社についての苦言になろうとは、思いもよりませんでした(苦笑)。
10年近くIBをやってきてこんな経験初めてです… なんともまあ疲弊しました。
疲弊したというのは、トラブルそのものに対してではないのです。そのトラブルに対する、パートナー担当者の、本来であればサポートすべきところ、社の言い分・マニュアル通りの言い訳に終始して、原因究明や将来の解決策などには微塵も触れようとしない対応に疲弊しました。
かねてからこの業者・担当者との”距離感”を感じていた私は、新しいご担当者が2ヶ月程前に着任された際、「これを機会に、今後はより一層、顧客目線に立ったコミュニケーションと相互信頼の確立に期待しております 」と、”距離感”を縮めるべくご挨拶していたのですが… イヤな予感は的中します。
事の発端はコミッションの出金リクエスト
このFX業者のウェブサイトは、ヨーロッパのどの国からアクセスしても英語ページに飛ばされる仕様になっていて、多言語選択はあっても、実際には英語・日本語・中国語以外には対応していません(ロシア語やスペイン語は部分的に対応)。
私の場合、余程のことがない限りそのまま英語ページにログインしますので、出金等のリクエストも英語ページで済ませます。
今までは別銀行のUSD口座であったりSTICPAYに出金していたため出金通貨はUSD一択でした。
しかし今回、出金先に欧州銀行を指定しました。マルチカレンシー口座ですが基本通貨はユーロに設定されています。
この業者の出金リクエストフォームには、USD, EUR, JPYの選択肢があります。ここで、日本円なりユーロなりを選択してみると、出金残高がほぼインターバンクレートで換算表記されます。
「こりゃ〜いいや!」と誰でも思いますよね?出金希望の通貨が日本円やユーロであれば、為替手数料のロスなしで送金できるわけですから。
そこでUSDのコミッションをユーロ換算に切り替えてっと… 出金希望額をユーロで入力、出金先銀行口座詳細・その他入力をしてっと… あれっ、署名の箇所がないな?…次のページなのかな?じゃあ「リクエスト」ボタンをポチっと…しかし「エラーが発生し…」とかなんとか表記され、通常は届くはずのリクエスト受付メールも届きません。しかし会員ページに戻るとCurrent Balance(現在の残高)は出金希望額が差引かれた状態です。
リクエストは通っていないが残高は減っている… これは放置すると重大問題になりかねない、と、即座に2ヶ月程前に着任されたというご担当者の方に、上記内容をかいつまんで(EURにて出金リクエストした旨とそのスクリーンショットも添付した上で)メール連絡を入れたのです。
最初の回答は、「会員ページで出金履歴を確認できるはず」旨の内容に「バリバリ様は海外在住のことと存じますので、私から確認出来る部分が限られてしまうため、お忙しいこととは存じますが何卒ご協力いただけますと幸いです」という、意味的にちょっと?な一文が付け加えられていました。イヤな予感の第二弾です。
結果として、リクエストから8時間後くらい、ご担当者からの回答とほぼ同時に「出金手続きが承認されました」旨のメールが届いていました… ここまでは良かったんです。システムエラーはあり得る事故の一つですから。
スイスフラン(CHF)で着金! 出金手数料が360ユーロ !?
2日後、受取先銀行から通知メールが入ったのでログインしてみると… ハイ着金してますよっとぉ?… ちょっと待ったぁ! 口座使用歴無し・残高ゼロのはずのスイスフラン(CHF)の残高が増えてるじゃあ〜りませんか!?
念のため確認してみても、基本通貨のユーロはもちろんUSドルの口座残高に変化はありません(あれば良かったのにねぇ〜・涙)。
しかもですよ!当日のレートでユーロに換算すると、€360も減額されて着金しているではあ〜りませんか!?
禅問答のようなやりとりの始まり…
件のご担当者にメール致しました。
「前略(恐らく中継銀行が)勝手にスイスフランに変換したことも問題ですが、手数料が300 EUR以上かかっていることになります。これではUSDのコミッションをEURに変換して出金依頼した意味がありません。ましてどういったロジックでEURをCHFに変換する、という発想が生まれるのでしょうか?」
上記したように、このご担当者は海外マネジメントとの単なる取次らしいので、「直に折衝した方が良いのであれば、担当部署のご連絡先をおしらせください」と付け加えてメールしたのですが、この闘いの終わるまで、ついぞ一度たりとも担当部署への直接の連絡先は教えて頂けなかったことをここに付け加えておきましょう。
そしてご担当者からの驚愕の回答は…
今回、そういった御社のフォーマットに中継銀行の記入欄や、〇〇様より「中継銀行を指定してください」といったサジェスチョンがあったでしょうか?
口座はマルチカレンシー口座ですが、基本通貨はEURに指定しており、CHF口座は今回入金されるまで「ゼロ」でした(先に添付したスクショをご参照いただければわかると思いますが…)
恐れ入りますが、弊社側からは上記にて申し上げましたように海外銀行送金は全てUSDにて出金されます。そちらがどういった過程を経て問題が発生したのかは、恐れ入りますが、ご利用の銀行様側へお問い合わせいただくことが最善であるかと存じますので、何卒ご理解いただけますと幸いでございます。
今回の場合、出金銀行側(御社様ご利用の銀行)が「中継銀行」を選択しております。つまりは御社の利用された「中継銀行」が、勝手にUSDからCHFへの換金を決めているわけです。受取側の銀行が決めているわけではありません。
し、しかし… 彼女は今更ながらに、更に時系列を無視した”サポート”を始めたのです…
私の回答を逐一引用するのもアホくさいので、心の叫び風に記載しておきます(実際のメール回答はあくまで丁寧語、敬語、謙譲語にて対応しています。悪しからず)。
①バリバリ様より出金申請ページにて<通貨*>よりEURを選択し、弊社からEURとして海外送金専用銀行に出金申請の伝達
バリバリ様は弊社HPをご覧いただく際に英語ページにてご操作いただいておりますことと存じますが日本語ページにてご確認いただきますと以下の通り、中継銀行の指定に関する表示がUSD送金と併せて表示されております。

①中継銀行名(ローマ字)②スウィフト・コード③MT4アカウント番号
以前の出金申請の際にも中継銀行の指定が必要であり、こちらへお知らせいただいたことがあることと存じますが、今回は中継銀行の指定は不必要でしたでしょうか。
ねっ?みなさん?IBである私が今回なんでここまで怒っているのかわかるっしょ?
今回、こんなやりとりが延々と続くんです、この後にも。もうね、スキゾフレニアの世界。
弊社にて海外送金を依頼している銀行とバリバリ様の受取銀行間にて行われる形となり、バリバリ様の受取銀行で弊社提携の海外送金専用銀行からの海外送金の際に中継銀行の指定が必要か否かは、ご利用の受取銀行へバリバリ様ご自身からお問い合わせいただく必要があり、なぜバリバリ様の受取銀行にてCHFの着金になったのか、につきましては受取銀行様へお問い合わせする必要がございます。
もうね、絶句ですよ。「(次回の)回答がまた同じになるようでしたら、こちらのメールに対する回答は結構です」と、この無駄なやりとりを打ち切ろうとしたのですが… その2日後、朗々と謝罪の言葉を述べる合間に、次のような”回答”が記載されたメールが届いたんです…..
弊社海外送金銀行から送金されたUSDがCHFに換算された件は、幾度となくご案内が重複しますが、受取銀行様にてどの通貨に換算するのか判断されることです。恐れ入りますが、上記のCHF通貨の件に関しましては、受取銀行様側へお問い合わせくださいませ。
いやもうね…「今回の出金申請にてバリバリ様からは中継銀行の指定をされておりません」と同じ文言のリピートを読んだ時には、もう怒りを通り越して怖くなりましたよ、マジで。
そして今までは「銀行送金ルートは(送金側からは)分からない」「場合によって中継銀行が変わる」と言っていたのが、今度は「(業者の)海外送金専用口座から出金先銀行にダイレクトに送金された」に変わったんですよ!?
んじゃあ、送金側銀行のオーダーシート取り寄せれば速攻で解決する話じゃないかい!?
だ・い・い・ち、アメリカの銀行から欧州のいわゆるメジャーでない銀行に海外送金する場合(例えば、Citibank等のメジャー系銀行の支店間同士での送金以外)中継銀行挟まないなんて「あっりえな〜い!」話なんですよ。
海外送金において送金する側の銀行は必ずオーダーシートなりPayment Acknowledgementを作成します。このオーダーシートに基づいて、どこの国(地域)の、どこの中継銀行を経由して、最終の受取銀行に届けるかを決めていくのです。
一方、受取銀行側といえば、送金側銀行なり中継銀行なりから「口座名義〇〇〇〇の、口座番号1234567宛に、△△△△△ USD (EUR, JPY) の入金がありますよ」と電信が入るまで、そんな入金知る由もないのです。事前連絡の必要な、何億も送金するような場合は例外として。
つまり送金ルートを追う場合は、送金側の銀行のオーダーシートに基づいてフォロー調査するのが定説です。
私もこの9年間だけでも(個人的な資金移動を含めて)恐らく100回以上は海外送受金(仕向送金・被仕向送金)をしてますし、様々なケースを経験しています(さすがにEUR→USD→CHF換算という想像もつかないケースはありませんでしたが・苦笑)。
そして、異常な遅れや法外な手数料といった問題がある場合、まず送金銀行側に(FX業者から出金の場合、そのFX業者に)問合せます。
こういった場合、「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。担当部署に問合わせ調査いたしますので今暫くお待ちください!」と即座に対応していただいた業者(そんなブローカーはやはり業界トップを走っています)もあれば、最初のうちこそ「受取先銀行に確認を」と言いながらも、最後には渋々ながらも対応してくれた業者もいくつかありました… 今回の業者以外は。
銀行のオーダーシートを取り寄せて示してくれた業者もありましたし、一度など$100以上かかった手数料を補填してくれたケースさえありました。
シンプルストーリー 迷宮入りする事件
1. 私が業者の管理ページからコミッションをユーロ換算(そもそも必要のない機能)で出金リクエスト→エラーが出てリクエストが通らなかった模様。
2. 新任の日本人担当者に「ユーロ出金依頼のスクショ」を添付してリクエストが通らなかった旨を伝えるも、この時点で「出金取扱はUSDのみです」「中継銀行を指定してください」等のコメント・サジェスチョンはなし。
3. FX業者の銀行がEURからUSDに換算して(この時点でUSDしか取扱わないはずの銀行にどうやってEURを換算・備蓄していたのか謎)受取先銀行口座(EUR建)に送金。
4. 受取先銀行口座(EUR建。USD口座も可。CHF口座は使用歴なし)に何故かCHFにて着金(USDで送金したのであればUSDで着金するはず)。
ところが今回、上記したようにとんでもないラビリンスに迷い込んでしまいした。実際のやりとりは、ここに記載した3〜4倍の長さになるのではないでしょうか。
いやね、分かってるんですよ。件のご担当者は単に日本人顧客の為に採用されただけで、該当部署なり、マネジメントなりの言う通り、マニュアル通りに回答しているだけだと… しかしそれでも上記メール回答のように、何が間違いの始まりで原因なのかといったロジックと時系列を無視して延々と自社の言い分を繰り返すことのできる、その神経(の図太さ)というのか、頭の中の回路はついぞ理解できませんでした。
このFX業者は、契約当時「利益取消」や「出金拒否」といったネット上の噂や書込みが絶えず、契約を持ちかけて頂いた当時のご担当者に、「顧客の入出金にまつわるトラブルは致命傷に繋がるので、そこだけはミスを犯さないように… 」と、これでもか、と言うほどに念を押し、しかしそれでも契約を躊躇したのですが、最後にはご担当者の熱意に負け契約に及んだ、という経緯があります。
結果として、利益取消や出金拒否といった事実は、少なくとも当IBのご登録者からは聞いたこともなく、この業者はネット上で言われるようなScamや詐欺などではない、というのが私の見解です(NDDかDDか、A-BookかB-Bookか、その良し悪し、というのはまた別のお話です)。
すべての根源は「企業体質」にあり
しかし一度だけ、顧客の出金がクレジットカードに着金せず、そのトレーダーに知らされないままMT4に返金され、設定されていたEAが稼働した結果ロスカットになってしまった、というケースがあったのです。
クレジットカードに着金しなかった理由はクレカ会社の認証問題(ある意味トレーダーの責任)だったのですが、問題はMT4への返金をトレーダーに知らせなかったことであり、この件を扱ったサポート担当者が謝罪どころか、あたかもEAを止めていなかったこのトレーダーのミスであるかのような口調で対応していたことでした。
上記契約当時のご担当者(チームリーダー)に私からきつく苦情を伝え、このリーダーの方から直に電話で件のトレーダーの方に謝罪して頂いたことで丸く収まった、といった事例でした。
今回の「EUR→USD→CHF謎の国際送金」にまつわる担当者の対応は、私に再びこのケースを思い起こさせました。
この業者に利益取消や出金拒否の事実がない(Scamや詐欺ではない)からといって、システムの不備であったり、ミスオペレーションによってトレーダーに何らかのロスが起きた際、問題の原因を迅速に特定し、それを認めて謝罪し、リカバリーに走らないマネジメントやサポートというのは、裏を返せば、資金を預けるという最大のリスクを負ってその業者を利用しているトレーダー(お客様)へのリスペクトの欠如、と取られても仕方がないでしょう。
そしてこのような「システムの不備」「ミスオペレーション」「リカバリーへの指針や努力はなく言い訳に終始するサポート」というのは三位一体で、その業者の「企業体質」そのものということができ、一朝一夕に変えることは難しいでしょう。
本来であれば海外FX業者をプロモーションする立場のIBやアフィリエイトでしょうが、その業者をトレーダーの皆様に紹介する以上、そこに欠陥やリスク要素があるとすれば、それをも伝えるのがIBやアフィリエイトとしてのトレーダーに対する責任ではないかと考え、「J’Accuse… 私は告発する!」シリーズの第一回として取り上げさせていただきました。
なっが〜いブログ記事となりましたが、最後までお付合いただき、ありがとうございました。
*この記事と同じような経験をされたトレーダーの皆様、アフィリエイトやIBの方々からのレポート・情報提供も歓迎します。「お問合せ」からご連絡ください。
これがこのFX業者の「企業体質」ではないかと私は考えます。